サマリー
◆ユーロ圏と英国の景気の明暗が一段と鮮明になっている。ユーロ圏では景況感が改善傾向にあり、中でも消費者信頼感は6月に16年ぶりの高水準に達した。マクロン大統領が誕生したフランスの景況感改善が目立つ。デフレ懸念の払拭を受けてECBが金融緩和の修正に動くとの期待から、金利が上昇し、ユーロ高となっているが、ECBの資産買取額の縮小は2018年前半、マイナス金利の修正は2018年後半以降と、慎重に時間をかけて進められる可能性が高い。当面の金利上昇やユーロ高は景気を抑制するには至らず、ユーロ圏の成長率は2017年+2.0%、2018年はやや減速して+1.8%になると予想する。
◆一方、英国では年初から個人消費が減速しているが、その先行指標である消費者信頼感は6月まで悪化傾向にある。1-3月期の実質可処分所得を目減りさせたインフレと所得の伸び悩みは4月以降も大きな改善がみられない。また、Brexitの行方に関する不透明感も一向に晴れない。最大の原因は、英国がBrexitでどのような成果を得ようとしているのか、具体的にどのような方法でそれを達成しようとしているのかが明確でないことである。個人消費という牽引役の減速傾向に歯止めをかける要因が見当たらない英国の成長率は、2017年は+1.5%、2018年は+1.3%と減速を見込む。
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