サマリー
◆米トランプ政権の関税政策(トランプ関税)に世界が翻弄される中、インドへの資金流入は安定している。内需国としての強みと、ポストチャイナとしての可能性が注目されているためだ。大和総研では、2025年度のインドの実質GDP成長率を、前年度比+6.5%と予測している。コロナ禍前(2015~19年度)5年平均と同程度で、無理のない成長ペースである。需要項目別に見た成長ドライバーは、個人消費とインフラ投資だ。
◆2025年1~6月までの、個人消費を表す各種指標を見ると、十分な雨量を背景に地方の強さが表れている。他方、都市部の消費を表す指標には、一部を除いて力強さに欠けるものが多い。実質金利が高水準にあること等が背景にあると考えられる。2025年7~9月期以降、インド準備銀行(RBI)によるさらなる利下げ(年内合計50bpと予測)と、所得減税の効果が発現すれば、都市部も消費の力強さを取り戻すだろう。
◆インフラ支出は、2024年度末から加速している。2025年4月・5月だけで2025年度の資本支出予算(2025年2月発表)の約20%が執行された。2025年は、昨年のような大型サイクロン直撃はこれまでのところ見られない。このまま推移すれば、2025年度の資本支出は、予算で示された規模をも上回る可能性がある。
◆リスク要因は、野菜や原油価格高騰にともなう物価の上振れと、米国との関係悪化である。原油に関しては、輸入先を多様化していることがリスク分散となるだろうが、中東リスク再燃の影響は避けられない。米国との関係では、「中国からインドへ」という流れが、トランプ大統領によって阻止される事態が繰り返されることに注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
インド2025年度予算案:消費回復が民間投資を促す好循環を生むか
企業投資の誘発効果の大きい耐久財セクターへの波及がポイント
2025年02月06日
-
カシミール問題を巡る印パの内情と経済への影響
インドは米国の介入を快く思わないが、経済にとっては都合が良い
2025年05月23日
-
インド出張報告
製造業育成と雇用創出を実現するには、抜本的な政策転換が必要
2024年10月18日
同じカテゴリの最新レポート
-
ASEAN5、消費格差の原因は?
外需と雇用・所得、金融環境、財政支援と家計バランスシート
2026年08月31日
-
インド:モディ政権の産業政策は、「質の高い雇用」を生みだせるのか?
量的改善から安定性・生産性・所得を伴う雇用への転換が問われる
2026年07月14日
-
AI・データセンターブームの恩恵を受けているのはどの国か?
インドネシアを除くASEAN5はブームの恩恵。インドはまだブームに乗り切れず
2026年06月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

