2024年07月23日
サマリー
◆業績や株主資本に連動する株主還元方針を掲げる企業が増えている。TOPIX500指数の構成企業の有価証券報告書を調べると、「配当政策」に株主還元比率のある企業数は、2013年度の181社から2023年度には296社に増えている。採用比率が6割を超えたのは、集計した2013年度以降では初めてである(2023年度は上場廃止企業を除く)。
◆2023年度は新規採用や拡充の動きが前年度を上回っている。2023年3月末の東証による「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請の影響が大きかったと思われる。一方、株主還元比率を取り下げる企業も増えたため、社数の純増は5社に留まった。
◆「累進配当」を2023年度に新たに導入した企業は24社で、採用企業数は倍増した。
◆配当政策の変更は、配当予想の修正がなければ適時開示の対象外のため、すべての変更が開示されているわけではない。2023年度に配当政策等の内容を変更したTOPIX500企業89社のうち、2022年1月から2024年6月までに配当方針等に関する適時開示を行った企業は26社に留まる。投資家とのコミュニケーションの質を高めるとの観点からも、企業には積極的な開示を期待したい。
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