2023年09月25日
サマリー
◆業績や純資産に連動する株主還元方針を掲げる企業が増えている。TOPIX500指数の採用銘柄の有価証券報告書を調べると、「配当政策」に株主還元比率を記載している企業数は、2013年度の181社から2022年度には287社に増えている。業種別で株主還元比率を採用している企業の割合の差は大きい。その他製品、建設業、機械、食料品では75%を超える一方、精密機器、医薬品、小売業、電気・ガス業は40%を下回っている。
◆株主還元方針の拡充(還元比率の引き上げ、還元策に自社株買いを追加等)も進む。株主還元比率を明示している企業のうちの約1割が、翌期に株主還元を拡充している。
◆これらの傾向の背景には、コーポレートガバナンス・コードの適用等で企業の説明への意識がより高まったこと、②企業の現預金の水準や使途等に厳しい目を向ける国内外の機関投資家の存在感が高まっていること、③同業のライバル企業への対抗意識があること等が考えられる。今後も株主還元比率を採用したり引き上げたりする傾向が続くと予想されるが、「比率」という分かりやすさに加え、どのような考え(成長への投資、財務の改善、他社比較、資本コスト等)から今の株主還元策になったのかという「プロセス」の分かりやすさへの進展が期待される。
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