2024年02月02日
サマリー
◆かねてコーポレート・ガバナンスや資本効率の観点から企業の政策保有株式への注目度は高い。本稿では、2023年10月末時点のTOPIX500構成企業(金融・保険業を除く)を対象に、政策保有株式の縮減状況や議決権行使への影響、縮減企業のキャッシュの使い道について分析を行った。
◆2018年から2022年にかけて、銘柄数・貸借対照表計上額の合計額の両方の観点から政策保有株式を縮減している傾向であった。
◆主要な議決権行使助言会社や機関投資家が企業の過度な政策保有株式の保有を問題視していることを背景に、政策保有株式の保有金額の純資産比が20%以上の企業において、政策保有株式を多く保有していることが取締役選任案への賛成率に一定程度影響を及ぼしている可能性が見られた。
◆政策保有株式の縮減を特に進めた企業は、それ以外の企業と比較して、政策保有株式が含まれる「投資有価証券」の売却から取得を引いた差分が大きく、キャッシュに余裕が生じていた。この縮減で得たキャッシュ以上のキャッシュを設備投資等や自社株買いに回し、キャッシュを多く留保しないようにする姿勢がうかがえた。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
令和6年金商法等改正法 公開買付制度の改正内容の詳細
30%ルール適用除外となる僅少買付け等は0.5%未満の買付け等に
2025年07月15日
-
総会前開示の進展と今後求められる取組み
2025年3月期決算会社では約6割が総会前開示を実施
2025年07月15日
-
日本版スチュワードシップ・コード改訂
5年ぶりの改訂の目的は協働エンゲージメント推進と実質株主把握
2025年06月27日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日