縮減が進む政策保有株式とその効果

TOPIX500構成企業の縮減状況、その議決権行使やCFへの影響を分析

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サマリー

◆かねてコーポレート・ガバナンスや資本効率の観点から企業の政策保有株式への注目度は高い。本稿では、2023年10月末時点のTOPIX500構成企業(金融・保険業を除く)を対象に、政策保有株式の縮減状況や議決権行使への影響、縮減企業のキャッシュの使い道について分析を行った。

◆2018年から2022年にかけて、銘柄数・貸借対照表計上額の合計額の両方の観点から政策保有株式を縮減している傾向であった。

◆主要な議決権行使助言会社や機関投資家が企業の過度な政策保有株式の保有を問題視していることを背景に、政策保有株式の保有金額の純資産比が20%以上の企業において、政策保有株式を多く保有していることが取締役選任案への賛成率に一定程度影響を及ぼしている可能性が見られた。

◆政策保有株式の縮減を特に進めた企業は、それ以外の企業と比較して、政策保有株式が含まれる「投資有価証券」の売却から取得を引いた差分が大きく、キャッシュに余裕が生じていた。この縮減で得たキャッシュ以上のキャッシュを設備投資等や自社株買いに回し、キャッシュを多く留保しないようにする姿勢がうかがえた。

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