配当方針を変更した企業の特徴と株価

時価総額100億円~1,000億円、PBR=0.9倍未満の企業が多い

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サマリー

◆2024年4-6月期に配当方針等を変更した企業は133社と、2009年以降の四半期で最も多い。2023年3月に東京証券取引所が上場企業に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」が、方針変更企業の増加を加速させている。中でも、時価総額では100億円から1,000億円、PBRでは0.3倍から0.9倍だった企業が、より積極的に株主への還元方針を見直している。

◆配当方針変更の内容としては「比率目標の新設、または目標値の引き上げ」が多いものの、開示件数に占める比率は低下した。代わって、配当金の水準を維持または引き上げる「累進配当の導入」や配当性向や総還元性向から株主資本配当率(DOE)への変更等の「方針の変更」が増えている。

◆株式市場では、配当方針等の変更の開示を概ね好感している。2022年1月以降に変更を開示した企業では、3社に2社で翌営業日の相対株価がTOPIXを上回っている。ただし、変更の開示と併せて配当予想等の増額があるかどうかで、株価パフォーマンスの持続力は異なる。

◆6月末時点ではPBRが1倍未満の企業が全体の4割を占めているため、当面は、引き続き比率の目標を新設したり、目標値を引き上げたりする企業が増えると見込まれる。その一方で、4-6月期に見られた変化のように、業績(当期純利益)の変動の影響が相対的に小さい累進配当やDOE等への方針の変更、比率目標の廃止や引き下げ等の動きも増えると思われる。

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