デジタル人民元の基本的な特徴と仕組み
導入近づく中国の中央銀行デジタル通貨、二層構造による利点は何か?
2021年02月16日
サマリー
◆米フェイスブックを中心とした企業連合が発表したデジタル通貨「Libra(リブラ、現ディエム)」の登場を受けて、中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行に向けた動きが活発になっている。主要国では、とりわけ中国人民銀行が「デジタル人民元」導入に向けた準備を急速に進めていることが注目される。
◆中国が積極的に進める通貨のデジタル化には、単なる金融サービスへのアクセシビリティ向上に留まらず、人民元の国際化や国内金融における銀行の地位回復、金融リスクに対する管理強化といった戦略も含まれているとみられる。このため、デジタル人民元の動向は、今後の中国における金融の在り方にまで関わる重要なテーマである。同時に、通貨の国際化という観点からは、他国に大きな影響をもたらすことも考えられる。
◆中国政府は、2022年にも一部地域で試験的にデジタル人民元の運用を開始する旨を公表しており、すでに足元では、一般市民を交えた大規模な実証実験や法改正に向けた動きが進んでいる。当レポートシリーズでは、最新の動向を踏まえつつ、デジタル人民元の基本的な仕組みや導入における狙い、さらに今後注目すべき論点について整理する。本稿(No.1)では、デジタル人民元の特徴と仕組みを解説する。
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