2026年03月23日
サマリー
◆土壌炭素隔離によるCO2除去(CDR)は、①農業・林業・その他の土地利用(AFOLU)への国際的な脱炭素要請の強まり、②土壌炭素クレジット向け方法論の信頼性評価の進展、③土壌炭素クレジットへの実需の発生を背景に、成長余地の大きい領域として再評価が進む。
◆土壌炭素隔離とは、農地管理の改善を通じて土壌に炭素を蓄える仕組みである。土壌炭素クレジットは、広範な農地を活用できることから、大量のクレジットを供給できる可能性があり、また相対的に低コストである等の優位性を持つ。
◆一方で、土壌炭素クレジットは、①測定の不確実性、②永続性(大気へのCO2放出、炭素貯留の持続期間が限定的)、③追加性とベースライン設定が課題である。しかし、デジタル測定・報告・検証(dMRV)の進展、永続性評価の見直し、認証プログラムの方法論の見直しなどで改善が進み、信頼性は向上しつつある。
◆農業に関わる原材料を扱う企業などは、土壌炭素隔離をバリューチェーン内除去として算定・報告する場合、トレーサビリティや測定の体制整備が求められる。他企業でも土壌炭素クレジットは残余排出の中和等の選択肢となる。環境整備の進展を見据え、早期関与を検討することが重要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
政府が推進するグリーントランスフォーメーション(GX)実現への道筋と課題
2024年から本格稼働する「成長志向型カーボンプライシング構想」
2024年02月07日
-
デジタルMRVが変えるカーボンクレジットの品質評価
炭素価値と非炭素価値を統合する、多面的な品質評価の必要性
2025年10月15日
-
ネットゼロへの移行に向け、企業のバリューチェーン外での排出削減の取組み(BVCM)は広がるか?
取組むインセンティブをいかに高められるかが鍵
2024年12月05日
-
GX-ETS本格稼働で強まるJ-クレジットの早期確保への動き
市場に依存しない、上流(創出)関与と相対・長期での確保が鍵
2026年02月05日
同じカテゴリの最新レポート
-
紛争の激化がサステナブルファイナンスに与える影響
脱炭素への取り組み、防衛産業の取り扱い、人権保護等の観点から
2026年04月13日
-
企業のAI導入・利用に必要な人権の視点
世界で進展するAI規制の展開と日本の現状を踏まえて
2026年04月10日
-
英国でもESG投資と受託者責任の関係は混迷
年金基金のESG投資に関するガイダンス策定を定める法案が否決
2026年04月03日
最新のレポート・コラム
-
紛争の激化がサステナブルファイナンスに与える影響
脱炭素への取り組み、防衛産業の取り扱い、人権保護等の観点から
2026年04月13日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業のAI導入・利用に必要な人権の視点
世界で進展するAI規制の展開と日本の現状を踏まえて
2026年04月10日
-
遺言のデジタル化に向けた検討
「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」における、遺言の手続きの見直しについて
2026年04月10日
-
AIの評価軸は“賢さ”から“協働”へ
2026年04月13日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

