サマリー
◆本稿は、世界の研究開発(R&D)投資額の企業データを用いて、日米欧中の企業の技術構成とパフォーマンスの関係を整理し、「中技術国の罠」が日本にも該当するかを検討する。先進国でも米国のような技術フロンティアに到達できない状況が問題視されており、欧州や日本では自動車など中技術分野への投資集中が顕著である一方、米国はハイテク分野、中国は米国と欧州・日本の中間に位置することが示される。
◆分析の結果、中技術分野はハイテク分野に比べて利益率が低く、企業規模を拡大しても収益性が改善しにくいことが確認される。また、日本は設立年の古い企業が多く、とりわけ1950年代以前創業企業の利益率が低い傾向にあり、これが全体のパフォーマンスを押し下げている可能性がある。中技術への依存と企業の高齢化が、構造的な停滞要因となっている。
◆この罠を回避するには、ハイテク分野を中心とした新規参入促進による新陳代謝の強化と、既存中技術企業の競争力向上が不可欠である。しかし日本は開廃業率が低く、政策的後押しが重要となる。R&D税制や高度人材受入れ、補助金、人的資本投資、競争促進などの施策を組み合わせ、資源配分の効率化と生産性向上を図ることが求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ポピュリズム・スパイラルの経済学
中技能労働者の賃金低下が招く「悪循環」
2026年05月13日
-
足元で再び増えたテレワーカー
人手不足下の雇用戦略としての新しい手段?
2026年04月28日
-
女性特有の健康課題にどう向き合うか
~対応加速と国際標準化への備え~『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

