ネットゼロへの移行に向け、企業のバリューチェーン外での排出削減の取組み(BVCM)は広がるか?

取組むインセンティブをいかに高められるかが鍵

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2024年12月05日

サマリー

◆国際的イニシアチブのSBTiは、企業に自社バリューチェーン(VC)内の温室効果ガス(GHG)排出削減だけでなく、高品質なカーボンクレジットの購入や直接投資を通じ、VC外の緩和活動(BVCM)にも即時に取組むことを推奨している。背景には、気候危機の中、民間資金による社会全体のネットゼロへの移行が求められていることがある。

◆2024年2月、SBTiはBVCMのガイダンスを公表し、企業がBVCMに取組むことで得られる便益や、BVCMをネットゼロ戦略に取り入れるステップなどを示した。

◆BVCMへの取組みについては国際的イニシアチブであるCDPの質問書にも含まれ、一部の先進的な企業はコミットし始めているが、その数は限定的だ。取組みを阻害する障壁として、グリーンウォッシング(見せかけの環境対応)懸念や経済的インセンティブの欠如等が挙げられている。

◆BVCMが目指すコンセプトの重要性は明白だが、遵守基準や報告の仕組みがなく、VC内外の取組み間でのリソース配分など、実施にはなお課題がある。企業の取組みを促すためには、基準等の整備に加え、いかにインセンティブを高められるかが鍵になろう。

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