サマリー
◆2012年8月10日、社会保障・税一体改革関連法が国会にて可決・成立し、8月22日に公布された。社会保障分野においては、特に年金制度が大きく改正される。本稿では、年金制度の改正法により年金制度がどう変わるかを解説する。
◆また、社会保障・税一体改革関連法とは切り離され、未だ国会審議中となっている年金制度の改正法案、および当初法案には記載されていたが国会審議や3党の修正協議の過程で削除された事項についても解説し、制度設計上の意見を述べる。
◆受給資格期間の短縮により新たに年金受給権が発生する者には、現在の生活保護受給者がある程度含まれるものと考えられる。厚生年金と共済年金は、制度上は統合されても財源は完全には統合されない。父子家庭への遺族基礎年金の支給は評価できるが、遺族厚生年金についても男女差をなくすべきである。短時間労働者への厚生年金の加入拡大により新たに厚生年金に加入する者は、短時間労働者のうち1割未満である。
※このレポートの改訂版レポート「年金制度の改正法の解説と意見2」を2012年11月22日に発表いたしました。
※税制改正については、吉井一洋「消費税法改正法の内容」(2012年8月22日発表)を参照。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
年金制度の改正法の解説と意見2
2.5%年金減額を含む年金支給額の試算など
2012年11月22日
-
社会保険料還付つき税額控除の提言
~所得税の税収増・所得再分配の強化と低所得者の社会保険料負担軽減を目指す改革案~『大和総研調査季報』 2011年春季号(Vol.2)掲載
2011年05月02日
-
消費税法改正法の内容
消費税率は引上げ、所得課税や相続税・贈与税見直しは先送り
2012年08月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
若年層の実質可処分所得の超長期推計
20~34歳未婚男女につき、1980~2024年の45年間を推計
2025年10月20日
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
金融庁、NISAのこども支援措置・投資商品入替措置などを要望
令和8年度税制改正要望—NISAの全世代化に向けた取組みが続く
2025年09月11日
最新のレポート・コラム
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日
-
健康経営の新たな戦略基盤
従業員多様化時代のウェルビーイングプラットフォームの可能性
2025年10月24日
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
バブル期と比較しても、やはり若者が貧しくなってはいない
~未婚若年層の実質可処分所得・1980年からの超長期比較版
2025年10月27日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

