2015年11月25日
サマリー
◆2015年11月9日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、市中協議文書「TLAC保有」を公表している(コメント提出期限は2016年2月12日)。
◆“TLAC”とは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)の総損失吸収力(Total Loss-Absorbing Capacity)をいう。TLACについては、同じく2015年11月9日に、金融安定理事会(FSB)が、最終的な基準(最終報告)を公表している。
◆市中協議文書の目的は、最終報告が規定する「TLAC保有のダブルギアリング規制」の明確化である。市中協議文書は、ダブルギアリング規制を、バーゼル規制資本への出資にとどまらず、TLAC保有にまで拡張する旨提案している。
◆市中協議文書の適用対象は、バーゼル規制と同様に、「国際統一基準行」である。また、市中協議文書のいう「TLAC保有」は、原則として、バーゼル規制資本に該当しないTLAC(TLAC債)への出資のみを指す。
◆市中協議文書は、①議決権10%以下保有先のTLAC保有について自己の普通株式等Tier 1(CET 1)の10%超相当分をTier 2から控除、②議決権10%超保有先のTLAC保有については全額をTier 2から控除する旨提案している。
◆なお、議決権10%以下保有先のTLAC保有のうち、ダブルギアリング規制の対象とならない部分、すなわち自己のCET 1の10%以下の部分のリスク・ウェイトを変更する旨の提案はなされていない。
◆市中協議文書は、最終報告と同様に、2019年1月からの適用を想定している。
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