自己資本比率規制における内部格付手法の影響

内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮

RSS

サマリー

◆銀行の自己資本比率規制において、(自己資本比率の分母の大きな割合を占める)信用リスク・アセットを算出する方法として標準的手法と内部格付手法がある。一般的に後者の方が信用リスク・アセットは小さくなり、自己資本比率の水準が引き上げられる。

◆内部格付手法採用行38行(2024年3月31日時点)について、自己資本比率の分母(リスク・アセット)が標準的手法と比較した場合にどの程度圧縮されているかを調べたところ、圧縮割合の平均値は66.0%であった。この値は、自己資本比率の水準が標準的手法で算出した場合の1.52倍(66.0%の逆数)になることを意味する。

◆バーゼルⅢ最終化による見直しにおいて「資本フロア」が導入され、内部格付手法等による自己資本比率の分母の圧縮割合は、原則として「72.5%」までしか認められなくなる。この水準よりも自己資本比率の分母を圧縮している場合、資本フロアにより自己資本比率の分母が増大し、自己資本比率が低下する。しかし、2024年3月31日時点のデータに基づいて資本フロアが適用された場合の影響を試算したところ、各行の自己資本比率は最低所要水準をある程度余裕をもって上回るという結果となった。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート

同じカテゴリの最新レポート