2025年03月10日
サマリー
◆銀行の自己資本比率規制において、(自己資本比率の分母の大きな割合を占める)信用リスク・アセットを算出する方法として標準的手法と内部格付手法がある。一般的に後者の方が信用リスク・アセットは小さくなり、自己資本比率の水準が引き上げられる。
◆内部格付手法採用行38行(2024年3月31日時点)について、自己資本比率の分母(リスク・アセット)が標準的手法と比較した場合にどの程度圧縮されているかを調べたところ、圧縮割合の平均値は66.0%であった。この値は、自己資本比率の水準が標準的手法で算出した場合の1.52倍(66.0%の逆数)になることを意味する。
◆バーゼルⅢ最終化による見直しにおいて「資本フロア」が導入され、内部格付手法等による自己資本比率の分母の圧縮割合は、原則として「72.5%」までしか認められなくなる。この水準よりも自己資本比率の分母を圧縮している場合、資本フロアにより自己資本比率の分母が増大し、自己資本比率が低下する。しかし、2024年3月31日時点のデータに基づいて資本フロアが適用された場合の影響を試算したところ、各行の自己資本比率は最低所要水準をある程度余裕をもって上回るという結果となった。
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