2015年11月11日
サマリー
◆2015年11月9日、金融安定理事会(FSB)は、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)の総損失吸収力(TLAC)に係る最終的な基準(最終報告)を公表している。
◆最終報告は、リスク・アセット(RWA)比のTLACの最低所要水準を、2019年1月から16%、2022年1月からは18%としている。
◆また、最終報告は、2019年1月からは6%以上、2022年1月から6.75%以上のレバレッジ比率(TLACベース)の維持を求めている。
◆最終報告に対する評価としては、①バーゼル規制資本にTLAC適格が認められたこと、②預金保険制度の強靭性にかんがみRWA比の2.5%から3.5%に相当するTLACの算入が認められたこと、そして③持株会社による発行であればシニア債にTLAC適格が認められたことの3点をもって、日本のG-SIBsにとっては今後の対応に関する目途が立ったということが可能である。
◆なお、シニア債をTLACに含めるためには、持株会社からの発行(借り換えを含む)が必要となるが、高い利回りを求める投資家の存在にかんがみ、マーケットへの影響は限定的であるものと思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
TLAC保有のダブルギアリング規制
【BCBS最終規則】ダブルギアリングにならない部分のRWは20%か
2016年10月19日
-
本邦TLAC債、ベイルイン条項は不要
【金融庁:TLACに係る枠組み整備の方針】リスク・ウェイトは未定
2016年04月25日
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日