「103万円の壁」与党改正案の家計とマクロ経済への影響試算(第4版)

71万人が労働時間を延ばし、個人消費は年0.5兆円拡大の見込み

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2025年01月21日

サマリー

◆2024年12月20日に公表された自由民主党・公明党「令和7年度税制改正大綱」(以下、大綱)では、与党としての、いわゆる「103万円の壁」への対応案が示された。

◆税法上の「103万円」には、2つの意味がある。1つ目は、所得税の課税最低限としての103万円であり、与党案は、123万円に引き上げるとしている。これは、今後の物価上昇も見込んだブラケットクリープへの対応として説明がつく範囲といえるだろう。

◆2つ目は、学生や「配偶者手当のある世帯の被扶養配偶者」において扶養の範囲で働ける上限年収としての103万円である。与党案が実施されると、扶養の範囲が拡大する。これにより、学生は現行の103万円から130万円まで働けるようになり、「配偶者手当のある世帯の被扶養配偶者」は現行の103万円から123万円まで働く機会が生まれる。

◆本レポートにて、与党案の実施によるマクロ経済への影響を試算した。その結果、71万人(学生61万人、被扶養配偶者10万人)が労働時間を延ばし、雇用者報酬は年0.2兆円増、減税効果と合わせて個人消費は年0.5兆円増となった。

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