政策保有株式の開示拡充とその影響

全上場会社の純投資目的への振替え状況と記載内容を踏まえて

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サマリー

◆2024年11月26日、金融庁が「『企業内容等の開示に関する内閣府令』等の改正(案)」(以下、開示府令改正案)を公表した。政策保有株式を保有目的が純投資目的である投資株式に変更した(以下、純投資への振替え)株式を保有している場合について、開示が求められる期間が1年間から5年間に延びるとともに、保有目的の変更理由、変更後の保有・売却の方針などの開示が新たに求められる。

◆全上場会社の2023年10月1日~2024年9月30日の間に提出された有価証券報告書を集計したところ、114社が純投資への振替えを行っていた。114社が純投資へ振り替えた銘柄数は延べ437銘柄、その貸借対照表計上額の合計額は約6,200億円にのぼる。

◆純投資への振替えを行っていた114社のうち、振り替えた株式の保有・売却の方針を開示していたのは28社と一部に限られた。開示府令改正案の適用によって、開示期間が延びるとともに、保有・売却の方針などを開示することが求められることで、実態と合わない純投資への振替えの多くは防がれると考えられる。

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