2016年07月07日
サマリー
◆2016年4月18日、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」は、報告を取りまとめ、公表した。内容は多岐にわたるが、その中に「フェア・ディスクロージャー・ルールの導入に向けた検討の実施」が盛り込まれている。
◆フェア・ディスクロージャー・ルールとは、投資判断に重要な影響を与えるような情報(例えば、業績予想の大幅な修正など)で未公表のものを、特定の第三者(例えば、大株主、アナリストなど)にのみ提供することを、原則、禁止するルールである。仮に、特定の第三者に提供するのであれば、その情報が他の不特定多数の投資者にも同時に提供されるように必要な対応を行わなければならない。
◆フェア・ディスクロージャー・ルールは、米国やEUなどで既に導入されている。もっとも、米国ではインサイダー取引規制の補完としての性格が強いのに対して、EUでは適時開示義務との関連性が強い、といった違いが指摘できる。
◆フェア・ディスクロージャー・ルールは、全ての投資者への公平・公正な情報提供を確保するという肯定的な評価がある。その一方で、発行会社による情報提供や、株主との「建設的な対話」を萎縮させるとの懸念も表明されている。今後、両者のバランスに配慮しながら、導入に向けた検討が進められるものと予想される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
(詳細版)フェア・ディスクロージャー・ルール細則案
2017年金商法改正関連シリーズ
2017年11月14日
-
フェア・ディスクロージャー・ルール細則案の概略
2017年金商法改正関連シリーズ
2017年11月08日
-
フェア・ディスクロージャー・ルールの導入
2017年金商法改正関連シリーズ
2017年06月08日
-
フェア・ディスクロージャー、HFTに関する金商法改正法案の概要
2017年金商法改正関連シリーズ
2017年03月15日
-
フェア・ディスクロージャーの論点
FDルールの何がどう影響するのか?
2017年02月23日
-
日証協によるアナリストの取材等に関するガイドライン
2016年10月21日
-
日証協によるアナリストの取材等に関するガイドライン案
2016年08月23日
-
フェア・ディスクロージャー・ルールをご存じだろうか?
2016年07月05日
-
アナリスト受難の時代へ?
決算短信大幅簡素化、FDルールの導入?
2016年03月07日
同じカテゴリの最新レポート
-
企業価値担保権付き融資の引当等の考え方
将来情報・定性情報を適切に債務者区分・格付に反映
2025年09月01日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
令和6年金商法等改正法 公開買付制度の改正内容の詳細
30%ルール適用除外となる僅少買付け等は0.5%未満の買付け等に
2025年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日