サマリー
欧州危機により、EUの経済・金融統治が十分でないということが明らかになりました。EUは、今後このような金融危機が再発することのないよう、どうすべきかを模索しています。その解決策として「財政統合」という提案が出ています。これは、EU加盟国が財政政策の主権を(一部)放棄し、EUに移譲するということです。ユーロ圏各国は既に金融政策をECBに一任していますが、それだけでは経済・金融の統治には不十分であるため、財政政策も部分的に一元化することでユーロ圏にとって最適な政策を実施しようという意図があります。
「財政統合」への一歩として、EUは財政に関する規律を強化する様々な対策を行っています。具体的には、ヨーロピアン・セメスター、シックス・パック、ツー・パックの導入、「安定、協調及び統治に関する条約(TSCG)」の発効などです。EUでは、単一通貨ユーロを導入する以前から、加盟国の財政規律を義務付ける安定成長協定(The Stability and Growth Pact; SGP)という枠組みが構築されていました。しかし、このSGPが十分機能しなかったことが欧州で財政危機が発生した理由の一つとなったため、強化策を講じています。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
入門 欧州経済 第10回(最終回)
財政統合に向けた動き ~その2~
2013年09月05日
-
入門 欧州経済 第8回
欧州安定メカニズム(ESM)
2013年08月15日
-
入門 欧州経済 第7回
欧州委員会 経済予測
2013年08月08日
-
入門 欧州経済 第6回
Ifo景況感指数とZEW景況感指数
2013年08月01日
-
入門 欧州経済 第5回
ECBの欧州危機への対応
2013年07月25日
-
入門 欧州経済 第4回
欧州中央銀行(ECB)とは
2013年07月18日
-
入門 欧州経済 第3回
EUの主な機構
2013年07月11日
-
入門 欧州経済 第2回
EUとユーロ圏
2013年07月04日
-
入門 欧州経済 第1回
EU成立の経緯
2013年06月27日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日