日本経済見通し:2026年3月

春闘賃上げ率5%台維持も、中東情勢悪化が新たな景気下押し要因に

RSS

2026年03月24日

サマリー

◆日本労働組合総連合会(連合)が2026年3月23日に公表した第1回回答集計結果によると、定期昇給(定昇)相当込みの賃上げ率は加重平均で5.26%(前年同時期比▲0.20%pt)だった。7月頃に公表される最終回答集計でも5%台を維持する公算は大きい。価格転嫁環境の改善などを背景に、大企業と中小企業の賃上げ率格差は縮小したが、中小企業の賃上げの広がりには課題が残る。中東情勢の緊迫化などで事業環境が悪化し、特に中小企業でいわゆる「賃上げ疲れ」が広がる可能性には注意が必要だ。

◆2026年度の日本の実質GDP成長率を+1.0%と見込んでいるものの、中東情勢の緊迫化などにより大幅に下振れする恐れがある。仮に、原油価格(WTI)が150ドル/バレルで推移し、ホルムズ海峡周辺国からの原油・LNG輸入減少に伴う供給不足が国内外で発生すれば、2026年度の実質GDP成長率は▲1.0%とマイナス成長に転じるだろう。このシナリオの下で特に打撃を受けるのは、非鉄金属や石油・石炭製品、ゴム・プラスチックなどの素材産業だ。

◆日中関係の悪化やトランプ米政権の高関税政策(トランプ関税)も、引き続き景気を下押ししている。前者については、訪日中国人客数が関係悪化前から半減しており、前回悪化時(2012年秋~)よりも長引く可能性がある。日本の対中レアアース(希土類)輸入量は直近の2026年1月でも維持されているものの、日中関係の冷え込みが続き、対中レアアース輸入が途絶されれば、日本の実質GDPは1.3%(7兆円)程度減少する可能性がある。他方、中東情勢が沈静化すれば、トランプ政権の軸足が通商政策に移り、トランプ関税が強化されることも考えられる。仮に、米国の平均実効関税率が2026年後半に10%pt引き上げられると、2026(2027)年の日本の実質GDPの下押し幅は0.20%(0.42%)と試算される。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート

同じカテゴリの最新レポート