サマリー
◆2024年1-3月期のGDP1次速報の公表を受け、経済見通しを改訂した。メインシナリオにおける実質GDP成長率は2024年度+1.0%、2025年度+1.4%(暦年ベースでは2024年+0.4%、2025年+1.7%)と見込む。
◆春闘賃上げ率の大幅引き上げもあり、実質賃金の前年比は2024年7-9月期にプラス転換するだろう。2023年度で前年比+1.8%だった一般労働者の所定内給与は、2024年度に同+3%台半ばまで高まるとみられる。また、定額減税や自動車の挽回生産、インバウンド需要の増加、高水準の家計貯蓄、シリコンサイクルの回復などが日本経済の下支え・押し上げ要因となるだろう。ただし、海外経済の下振れリスクには引き続き細心の注意が必要で、国内金利の上振れや円高の急速な進行の可能性もある。
◆日本銀行は経済・物価情勢を注視しつつ、緩やかなペースで追加利上げを実施するだろう。メインシナリオでは2024年10-12月期に短期金利を0.25%に引き上げ、2025年以降は年0.50%(年2回)のペースで利上げを行うと想定している。ただし、実質短期金利は予測期間を通じてマイナス圏で推移するなど緩和的な金融環境は維持されるだろう。円安の進行で物価の上振れリスクが高まった場合、国債購入ペースの柔軟化または購入額減額を通じ、長期金利を上昇させるとみている。
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