サマリー
◆大和総研では日本経済中期予測を1年ぶりに改訂し、今後10年間(2017~2026年度)の成長率を、年率平均で名目+1.7%、実質+1.1%と予測する。予測期間前半はプラスマイナスの材料が交錯するが、後半には働き方改革の成果で民間需要が緩やかに成長する。物価上昇率は需給ギャップ改善や原油価格上昇で総じて緩やかに推移するが、日銀のインフレ目標の達成は困難。日銀の積極的な緩和姿勢は大きく変わらないと予測する。
◆世界経済の平均成長率は+3.2%を見込む。Fedは緩やかなペースで引き締めを続けるとみられるが、トランプ大統領の政策次第ではインフレへの配慮から利上げペースを加速させる可能性がある。トランプ大統領の任期4年間は常にリスクを意識せざるを得ず、特に予測期間前半は下振れリスクが多い点には留意が必要であろう。
◆個人消費の回復に向けて懸念すべきは現役世代の貯蓄動機の高まりだ。総資産は減少し、社会保障・雇用に起因する将来不安も大きい。可処分所得が増加しても貯蓄動機に吸収されて、消費は増えない可能性がある。インバウンド消費は為替変動の影響を大きく受けるため、政府の野心的な目標達成の不確実性は高い。地方の魅力発信、体験型消費の促進で、リピーター中心の安定的なサービス消費獲得を目指すべき。
◆労働市場への女性新規参入者数は減少傾向にあり、女性の労働供給の短期的限界が近付いている可能性がある。さらに介護離職も増えており、雇用は必ずしも労働生産性の高い業種へ流れていない。就業抑制の回避や雇用の適切な流動化には、税・社会保障制度改革や介護施設の増設等に加えて、働き方の構造的な変革、例えば働き方の柔軟化をもたらすジョブ型雇用の段階的導入と教育・再分配政策の積極化が不可欠。
◆雇用コストの吸収には高い生産性の実現が必要だが、日本のビジネス環境は相対的に後退。世界最先端レベルの規制・行政改革により日本の1人当たりGDP成長率は1%ポイント強の上乗せが可能。日本はスピード感を持ってビジネス環境の改善を進めるべき。
◆目次
- 予測のポイント
- 今後10年の世界経済・日本経済
- 世界経済見通し
- 日本経済見通しの概要
- リスクシナリオを考える
- 非連続的な変化を前に日本は何をすべきか?
- 現役世代の消費と資産
- インバウンド:「爆買い」その後
- 短期的限界近付く 女性の労働供給
- 「介護離職ゼロ」政策を点検する
- 生産性の高い業種に人材は流れているのか?
- 生産性を高めて非連続的な変化にも耐えるビジネス環境が急務
- モデルの概説とシミュレーション
- 今後10年の世界経済・日本経済
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
生産性を高めて非連続的な変化にも耐えるビジネス環境が急務
日本経済中期予測(2017年2月)9章
2017年02月10日
-
生産性の高い業種に人材は流れているのか?
日本経済中期予測(2017年2月)8章
2017年02月10日
-
「介護離職ゼロ」政策を点検する
日本経済中期予測(2017年2月)7章
2017年02月10日
-
短期的限界近付く 女性の労働供給
日本経済中期予測(2017年2月)6章
2017年02月09日
-
インバウンド:「爆買い」その後
日本経済中期予測(2017年2月)5章
2017年02月09日
-
現役世代の消費と資産
日本経済中期予測(2017年2月)4章
2017年02月09日
-
日本経済見通しの概要とリスクシナリオ
日本経済中期予測(2017年2月)2章・3章
2017年02月08日
-
世界経済見通し
日本経済中期予測(2017年2月)1章
2017年02月08日
-
現役世代の将来不安と消費
満たされなかった貯蓄動機が個人消費の回復を阻む
2016年10月31日
-
日本のビジネス環境ランキングを上げるには何をすべきか?
行政手続きの数・時間が3分の1、費用半減で3位は射程圏内に
2016年12月27日
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2026年6月号(No.475)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2026年05月28日
-
日本経済は新たな均衡に向かえるか
2026年05月28日
-
日本経済見通し:2026年5月
中東情勢を受け26年度の実質GDP成長率見通しを+0.6%に下方修正
2026年05月27日
最新のレポート・コラム
-
被扶養者の出生率低下と割合低下が2017年度以後の出生率低下の大部分を説明
医療保険属性別出生率の推計結果:2024年度版
2026年06月08日
-
増えつつある株主総会の月曜日開催
慣行となっていた月曜日開催回避だが、その必要性は薄れている
2026年06月08日
-
2026年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率はプラス幅が縮小し、設備投資はマイナス転換
2026年06月08日
-
米国の雇用環境は本当に強いのか?
2026年5月米雇用統計:雇用者数は力強い伸びとなるも、他の指標はまちまち
2026年06月08日
-
家計所得の拡大を好循環につなげるには資産形成の高度化と社会保障改革が必要
2026年06月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

