サマリー
◆株価や不動産価格の上昇は家計の資産価値を押し上げる一方、近年のインフレは金融資産の約半分を占める現預金の価値を目減りさせている。日本の家計は、米欧諸国と比べて株式・投資信託の保有規模がなお小さく、将来不安の強さや住宅資産の流動性の低さもあって資産価値の増加が消費に結び付きにくい。このため、資産効果は米欧諸国と比べて小さく、2%のインフレに伴って資産価格も上昇(株価11%、住宅・土地3%上昇と設定)した場合、資産価格上昇による正の資産効果を、現預金等の実質価値低下による負の効果が上回り、個人消費は0.3%減少するとみられる。
◆こうした課題に対し、金融リテラシーの向上による株式・投資信託の保有拡大、年金・医療費等に対する将来不安の軽減、中古住宅市場の活性化等が求められる。家計金融資産に占める株式・投資信託の割合が政府目標並みの約4割まで上昇するとともに、株式・投資信託の資産効果がユーロ圏並み(1円あたり効果が現状の3倍)に高まり、住宅・土地でも資産効果が発現すれば、物価・資産価格上昇局面における個人消費への影響は、0.3%の押し上げに転じると見込まれる。資産形成の裾野拡大と資産の有効活用を進めることで、資産市場と実体経済の好循環を実現していくことが重要である。
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