生成AIシミュレーションと金融経済分析

応用研究事例から考えるメリットと注意すべき特性や課題

RSS

2026年06月23日

サマリー

◆「生成AIエージェント・シミュレーション」とは、生成AIに個人や企業の属性を与え、仮想的な主体として振る舞わせる手法である。

◆金融経済分析への応用研究は、主に①人間の回答や行動の再現能力に関する基礎的検証、②マクロ経済理論との整合性の確認、③現実的な経済シミュレーションへの応用、の3つに分類できる。これらの研究は、生成AIが人間の平均的な回答傾向やマクロ経済学で知られる主要な理論や経験則等を、一定程度再現できることを示している。

◆本手法の主なメリットとしては、①消費者や企業の考え方・意思決定を、分析者の主観に頼らず再現できること、②数式やプログラムではなく、自然言語で条件を指示してシミュレーションを行えること、③過去にデータのない新しい政策や経済ショックに対しても、探索的な分析が行えること、が指摘できる。

◆一方で、主な注意すべき特性や課題としては、①生成AIの回答が平均的な意見に偏りやすい等のバイアス、②変化の方向性は再現できるが、数値の水準までは正確に再現しきれないこと、③モデルの廃止・変更により、同じ分析を継続的に再現できなくなるリスクが挙げられる。

◆今後は、消費者マインドや企業の意思決定、政策変更への反応等を探索的に把握する新たな分析手段として、金融機関や政策当局、事業会社での活用が期待される。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート

同じカテゴリの最新レポート