サマリー
◆2025年2月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+11.4%と5カ月連続で増加した。4カ月連続の前年比円安ドル高で輸出価格が押し上げられたことが主因だが、輸出数量の1-2月平均は前年比で小幅な増加にとどまり、中国の春節や為替の影響を差し引いた基調的な輸出の伸びは引き続き鈍い。輸出金額の季節調整値は前月比+4.0%と2カ月ぶりに増加した。輸入金額は前年比▲0.7%と3カ月ぶりに減少し、季節調整値でも前月比▲4.1%と3カ月ぶりに減少した。貿易収支は5,845億円と2カ月ぶりの黒字となり、季節調整値でも1,823億円と2カ月ぶりに黒字となった。
◆2025年2月の輸出数量は前月比+6.7%と2カ月ぶりに増加した。自動車関連財(自動車、同部分品、原動機等)や半導体関連財(半導体等製造装置、集積回路(IC)等)が輸出全体を押し上げた。輸出数量全体を地域別に見ると、米国向け(同+11.4%)、EU向け(同+19.8%)、アジア向け(同+3.5%)のいずれも増加した。アジア向けのうち中国向け(同+14.2%)も増加した。
◆先行きの輸出数量は均して見れば横ばい圏で推移するとみている。米中経済の緩やかな減速を主因に輸出全体は伸び悩む見込みだ。当面はシリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復を背景とした半導体関連財の輸出増が期待できるが、同サイクルは2025年半ばには頭打ちが予想される。「トランプ関税2.0」の不確実性にも引き続き注意が必要となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
トランプ政権による「相互+VAT」関税が日本経済に与える影響と金融政策への示唆
「相互+VAT」関税で日本の実質GDPは最大1.8%程度下押しの可能性
2025年03月11日
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
-
2025年3月鉱工業生産
自動車工業や電気・情報通信機械工業など10業種が前月から低下
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日