トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?

広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和

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2025年03月03日

サマリー

◆米トランプ政権は10%の対中追加関税に続き、メキシコとカナダに対する25%の関税などを課す可能性がある。厳しい関税措置は、米国を含む各国経済の減速などを通じて日本経済に悪影響を及ぼし得る。半面、関税を課された国の価格競争力が低下して日本が代替需要を取り込む(いわゆる「漁夫の利」を得る)可能性もある。そこで本稿では、第2次トランプ政権下で日本が「漁夫の利」を得る条件を検討する。

◆第1次トランプ政権下では、対中追加関税の影響で中国の対米輸出シェアが低下し、ベトナムなどのシェアが上昇した。同時期に日本のシェアは低下しており、「漁夫の利」は得られなかった。対中追加関税の対象品目における日本の国際競争力の低さが主に影響したとみられる。

◆第2次トランプ政権下では、より広範な関税措置による日本経済への悪影響が懸念される。関税措置の対象はほぼ全品目に及ぶほか、中国以外の国も対象となる可能性がある。もっとも、全品目ベースで見た日本の輸出財の競争力は他国に見劣りせず、韓国やドイツなどとの輸出財の代替性が高い。関税措置の対象が幅広い品目やこれらの国に及んで日本の輸出競争力が相対的に向上した場合、日本経済への悪影響は「漁夫の利」で一定程度緩和されるだろう。

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