サマリー
◆若年女性人口の東京圏への移動による出生率の押し下げ幅は20年度までの10年間で0.004と、全国の出生率低下幅の1割未満の寄与にとどまる。東京圏の被保険者(正社員等として働く女性)の出生率は主な人口の流出元である東北などと大差がなく、仕事と子育ての両立という課題が残るためだ。全国の出生率を高めるには、東京圏だけでなく各地域で住民が希望する結婚や出産の実現を阻む要因を解消する必要がある。
◆近年の被保険者出生率の上昇幅は、3世代同居比率や近居比率との関係性がうかがえ、親族間の「互助のケア」と行政による「公助のケア」を両輪で強化する必要があろう。近年の被扶養者(配偶者等の扶養に入る女性)の出生率の低下幅は、所得の低い地域で特に大きい。在宅育児支援により追加的給付を行うほか、地方の生産性向上に向けた取り組みも被扶養者出生率の低下に歯止めをかける一助になろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
少子化対策は費用対効果の観点からのブラッシュアップが必要
マクロ・ミクロの出生率分析に基づく政府施策の効果検証
2024年08月26日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
「2人目の壁」が近年の出生率低下の大きな要因に
被保険者・被扶養者別の有配偶率と有配偶出生率の推計結果
2024年06月25日
-
医療保険属性別(被保険者・被扶養者別)出生率の推計結果:2022年度版
健保組合は3年ぶり、協会けんぽは7年ぶりに被保険者出生率が低下
2024年05月29日
-
「次元の異なる少子化対策」として何を実施すべきか
政策効果を明示した上で、財源や負担の「社会的合意」を目指せ
2023年02月27日
-
出生率の引き上げには在宅育児への支援強化も必要
医療保険属性別(被保険者・被扶養者別)の合計特殊出生率の推計
2023年02月01日
同じカテゴリの最新レポート
-
国内旅行消費、押し上げの鍵は「分散化」
国・自治体・企業の連携で旅行の時期を分散し費用減と混雑の緩和を
2025年07月11日
-
経済指標の要点(6/18~7/11発表統計分)
2025年07月11日
-
有効求人倍率の低迷は実態を表しているのか?
業務統計であるが故のデータの振れや集計対象の偏りに注意
2025年07月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日