サマリー
◆2024年8月の家計調査における二人以上世帯の実質消費支出は前月比+2.0%と2カ月ぶりに増加した。他方、複数の需要側統計を用いて補正した世帯消費動向指数(CTIミクロ)で見た実質消費は同▲0.3%と2カ月連続で減少した。供給側統計である商業動態統計では、CPIの財指数で実質化した小売販売額は同+0.0%と前月から概ね横ばいだった。総消費動向指数(CTIマクロ)は同▲0.0%であった。台風等の影響もあり、8月の個人消費は前月から小幅に減少したと判断される。
◆9月の個人消費は8月に続き減少したとみられる。10月以降の個人消費は、家計の所得環境の改善などを受けて緩やかに持ち直すとみている。為替レートが一時1ドル=161円台後半を付けたのち円高方向に修正されたことで先行きの輸入物価の上昇が抑制されるだろう。これにより中間投入コストの増加ペースが徐々に鈍化していくことで、先行きの物価の上昇は一定程度抑制される見込みだ。ただし、物価の上振れリスクには引き続き注意が必要だ。企業による価格転嫁が過度に進展し物価が上振れすれば、実質賃金は低下し、個人消費の回復を妨げる可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
消費データブック(2024/10/7号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年10月07日
-
2024年7月消費統計
酷暑の影響もあり個人消費は前月から減少
2024年09月06日
-
消費データブック(2024/9/3号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年09月03日
-
2024年6月消費統計
気温高で夏物衣料やエアコンなどが好調で、個人消費は小幅に増加
2024年08月06日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
-
2025年3月鉱工業生産
自動車工業や電気・情報通信機械工業など10業種が前月から低下
2025年04月30日
-
急速に広がる資格情報等のデジタル化
利用時に気をつけるポイントと求められるデジタルリテラシー
2025年04月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日