サマリー
◆2023年10月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+2.9%となった。全国新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は同+4.0%であった。連鎖方式の指数(季節調整値)では新コアコアCPIは前月比+0.1%(年率換算+1.1%)となった。3カ月移動平均値で見ると、前月から伸び率が大幅に縮小しており、基調的な物価の上昇ペースに鈍化が見られる。
◆全国コアCPIの前年比の動きを財・サービス別に見ると、耐久消費財とサービスはプラス幅が拡大した。エネルギー高対策の補助額が半減した影響でエネルギーはマイナス幅が縮小した。一方、半耐久消費財と非耐久消費財(除く生鮮食品、エネルギー)はプラス幅が縮小した。
◆先行きの全国コアCPIは、2023年度で前年比+2.8%、2024年度で同+2.8%と見込んでいる。全国新コアコアCPIでは、それぞれ同+3.9%、同+1.9%の見込みだ。価格転嫁の更なる進展や、2024年春闘の賃上げ率が前年並みかそれを上回ることで、賃金と物価の循環的な上昇メカニズムが安定的に機能するようになるとみている。デフレ脱却を実現するだけでなく、日本銀行が目指している2%の物価安定目標の達成のめども立つとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日