サマリー
◆10月前半の消費は9月から緩やかに回復したとみられる。財消費は緊急事態宣言等(以下、宣言等)の全面解除を受け、百貨店などこれまで客数が減少していた業種を中心に持ち直しの兆しが見られる。一方、スーパーマーケットや大手家電量販店、コンビニエンスストアなどは前月から減少した。サービス関連は、宣言等の全面解除を受け、前月から増加したとみている。小売店・娯楽施設の人出を見ると、9月上旬を底に回復傾向が続いており、10月に入りそのペースが幾分加速している。新幹線の輸送量や高速道路の交通量にも持ち直しの兆しが見られる。
◆【小売関連】10月前半の大手百貨店の既存店売上高の伸び率は2019年同期比で9月から大幅に上昇した。宣言等の全面解除を受け、客数の回復が増加に寄与した。一方、スーパーマーケットの売上高は前月平均比▲1.8%となった。内食需要の減少が影響したとみられる。また、9月に大幅に増加していた大手家電量販店は同▲5.0%と反動で落ち込んだ。コンビニエンスストアは同▲12.5%と大幅に減少し、10月に増税されたたばこの駆け込み需要の反動減が表れた。
◆【サービス関連】10月前半の新幹線輸送量は2019年同期比▲5~6割程度、高速道路の交通量は前年比▲1~10%程度といずれも9月からマイナス幅が縮小した。宣言等の全面解除を受け、県をまたぐ移動にも持ち直しの兆しが見られる。一方、飲食店情報の閲覧数は回復傾向にあるものの、2019年同週比では5割減と低水準にとどまる。宣言等の全面解除後も時短営業などの制限が設けられており、回復ペースは鈍い。小売店・娯楽施設の人出などに鑑みると、サービス消費は宣言等の解除を受けてもV字回復とはならず、緩やかに持ち直していくだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年8月消費統計
緊急事態宣言、天候不順により大幅減少、10月以降は持ち直しへ
2021年10月08日
-
消費データブック(2021/10/5号)
個社データ・業界統計・POSデータで足元の消費動向を先取り
2021年10月05日
-
消費データブック(2021/9/22号)
個社データ・業界統計・POSデータで足元の消費動向を先取り
2021年09月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年11月雇用統計
失業者数が減少し、雇用環境の改善が進む
2025年12月26日
-
2025年11月鉱工業生産
自動車の減産などが押し下げ要因/当面の間は軟調な推移を見込む
2025年12月26日
-
トランプ関税の影響緩和に作用した企業対応
自動車は関税負担吸収で他企業への波及回避/機械は価格転嫁
2025年12月19日
最新のレポート・コラム
-
企業の開示事例から見る気候変動の物理的リスク・機会と適応策
地球沸騰化時代の企業戦略と情報開示
2025年12月29日
-
2025年11月雇用統計
失業者数が減少し、雇用環境の改善が進む
2025年12月26日
-
議決権行使助言業者の新方針:2026年以降ジェンダーや長期在任の基準厳格化
ISSとグラス・ルイスが2026年以降に適用開始となる議決権行使助言の新方針を公表した
2025年12月26日
-
家計金融資産の運用リターンの日米比較
運用リターンの日米格差は現在27倍も、「貯蓄から資産形成へ」のさらなる進展で格差縮小の可能性
2025年12月26日
-
2026年、高市政権の課題
2025年12月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

