サマリー
◆9月の消費は8月からおおむね横ばいで推移したとみられる。財消費は業種によってまちまちであった。緊急事態宣言(以下、宣言)の延長に伴い、百貨店などは客数の減少が響いた。加えて、自動車の販売台数は生産調整の影響が本格的に発現し、前月から大幅に減少した。他方、大手家電量販店やコンビニエンスストアは前月から増加した。サービス関連は宣言などの延長を受け低調に推移したとみられる。小売店・娯楽施設の人出を見ると、9月前半は8月からおおむね横ばいで推移していたが、後半は新型コロナウイルス新規感染者数の急減を受け、緩やかながら回復傾向にある。一方、新幹線の輸送量などを見ると、県をまたぐ移動は自粛する傾向が足元でも続いている。
◆【小売関連】9月の大手百貨店の既存店売上高の伸び率は2019年同月比で3~4割減程度とマイナス幅が拡大した。また、ドラッグストアは前月比▲3.3%、ホームセンターは同▲2.3%、スーパーマーケットは同▲0.1%と前月から減少した。さらに、自動車販売台数は同▲27.0%と大幅に減少した。他方、大手家電量販店の売上高は同+17.0%と大幅に増加した。五輪前の駆け込み需要の反動で大幅に減少していたテレビや、天候不順で落ち込んでいたエアコンの販売が回復した。コンビニエンスストアは同+6.2%となった。10月に増税を控えたたばこの駆け込み需要が発現した。
◆【サービス関連】9月後半までの新幹線輸送量は2019年同期比7割減程度と8月から横ばいだった。感染拡大を受け、移動を自粛する動きが継続した。8月の旅客機の輸送量(国内線)は同7割減程度と7月からマイナス幅が拡大したが、9月の減便率は計画比4割程度、10月は同3~4割程度と需要の緩やかな回復が見込まれている。また、9月中旬までの飲食店情報閲覧数は前月平均と比べ回復するも、3度目の宣言期間である4、5月の1週間平均並みの低水準にとどまる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
消費データブック(2021/9/22号)
個社データ・業界統計・POSデータで足元の消費動向を先取り
2021年09月22日
-
2021年7月消費統計
サービス消費の弱さを背景に実質消費支出は3カ月連続で減少
2021年09月07日
-
消費データブック(2021/9/6号)
個社データ・業界統計・POSデータで足元の消費動向を先取り
2021年09月06日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
-
2025年3月鉱工業生産
自動車工業や電気・情報通信機械工業など10業種が前月から低下
2025年04月30日
-
急速に広がる資格情報等のデジタル化
利用時に気をつけるポイントと求められるデジタルリテラシー
2025年04月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日