サマリー
◆8月の家計調査における二人以上世帯の実質消費支出は前月比▲3.9%と4カ月連続で減少した。前年比ベースでは、▲3.0%となり、コンセンサス(同▲1.2%)を下回った。また、商業動態統計の名目小売販売額は前月比▲4.1%と3カ月ぶりに大幅に減少した。
◆8月の消費は緊急事態宣言(以下、宣言)等の対象地域の拡大に加え、西日本を中心とした天候不順も重なり、財・サービスともに大幅に減少した。とりわけ、選択的消費支出が大きく減少しており、全国的な新型コロナウイルス感染拡大によって自粛傾向が強まったことが影響した。
◆9月の消費は8月から底這いで推移したとみられる。宣言等の延長に伴い、百貨店などは客数の減少が響いた。加えて、自動車の販売台数は生産調整の影響により前月から大幅に減少した。他方、大手家電量販店やコンビニエンスストアは前月から増加したとみられる。サービス関連は宣言等の延長を受け低調に推移したとみられる。小売店・娯楽施設の人出を見ると、9月後半は感染者数の急減を受け緩やかながら回復傾向にある。一方、新幹線の輸送量などを見ると、県をまたぐ移動を自粛する傾向が続いている。消費の持ち直しは宣言等が解除された10月以降になろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
消費データブック(2021/10/5号)
個社データ・業界統計・POSデータで足元の消費動向を先取り
2021年10月05日
-
2021年7月消費統計
サービス消費の弱さを背景に実質消費支出は3カ月連続で減少
2021年09月07日
-
消費データブック(2021/9/22号)
個社データ・業界統計・POSデータで足元の消費動向を先取り
2021年09月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
-
2025年10月雇用統計
雇用環境の改善が進み、就業者数は過去最高を更新
2025年11月28日

