サマリー
◆2018年に入ると、グローバルな金融市場の混乱を受けて、「適温経済」の持続性に対する懸念が急速に高まり、景気後退論が浮上することとなる。そこで本稿では、主要国・地域の短期・中長期の景気循環を丹念に点検することを通じて、不透明感が漂い始めた世界経済の行方について多面的に分析する。
◆2018年1-3月期の世界(日米欧中)の在庫循環は、景気が成熟化していることを示している。ただし、しばらくの間は、現在の局面にとどまる可能性が高く、短期の景気循環を通じて見ると、世界経済は当面底堅い推移が続くと想定される。
◆世界(日米欧中)の資本ストック循環の推移を確認すると、2017年は、成熟局面入りした資本ストック循環が一旦若返り、世界の経済成長率も加速した。先行きについては、2017年に若返った効果が残存することで、短期的に見ると、設備投資は当面底堅く推移すると考えている。
◆基本シナリオとして、世界経済が今後直ちに景気後退局面入りする可能性は低いものの、欧米の政治リスクや地政学的リスクが燻る中、今後、「米国のハイイールド債スプレッド」や「デット・エクイティ・レシオ」といった指標の変化を丹念に点検することが重要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
Fedを中心とした「世界経済サイクル」から今後をどう読むか?
世界経済が「ソフトパッチ」に留まるか否かはFedの手腕がカギ
2016年04月05日
-
米国企業の「デット・サイクル」から見た世界経済の先行きについて
「世界株安・世界生産減」の発生確率は24%程度と試算
2016年04月04日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日