2026年05月19日
サマリー
◆二国間クレジット制度(JCM)は、日本政府や企業がパートナー国における脱炭素技術等の普及・実施に協力することで実現した温室効果ガスの排出削減・吸収の成果を両国に配分する仕組みである。排出量取引制度(GX-ETS)の本格稼働による需要顕在化や国際ルールの明確化により、JCMクレジットの活用の位置づけが変化しつつある。
◆JCMクレジットは、国際ルールとしてパリ協定6条2項に準拠した信頼性を有するとともに、同条に基づき国際航空分野等での利用が視野に入る。また、二国間合意に基づく制度枠組みの下で、パートナー国での案件形成に関する予見可能性も高い。
◆政府による政策的な後押しに加え、企業の市場調達ニーズの高まりが見込まれる中、従来の補助金中心のプロジェクトだけでなく、民間資金中心のJCM(民間JCM)の組成促進が重視されてきている。政府のガイダンスや実施体制の整備で見通しは改善し、案件形成が増えつつある。
◆企業が民間JCMの活用を検討する際は、①GX-ETS対応の履行手段多様化の観点からJCMクレジットの役割をどう位置づけるか、②クレジット取得や投資回収の不確実性を踏まえ事業をどう設計するか、③当面の国内制度対応か将来の国際制度での活用か、といった観点から整理することが重要となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
GX-ETS本格稼働で強まるJ-クレジットの早期確保への動き
市場に依存しない、上流(創出)関与と相対・長期での確保が鍵
2026年02月05日
-
政府が推進するグリーントランスフォーメーション(GX)実現への道筋と課題
2024年から本格稼働する「成長志向型カーボンプライシング構想」
2024年02月07日
-
デジタルMRVが変えるカーボンクレジットの品質評価
炭素価値と非炭素価値を統合する、多面的な品質評価の必要性
2025年10月15日
-
メタン削減は気候変動対策の実効性を高めるか
2026年05月08日
同じカテゴリの最新レポート
-
紛争の激化がサステナブルファイナンスに与える影響
脱炭素への取り組み、防衛産業の取り扱い、人権保護等の観点から
2026年04月13日
-
企業のAI導入・利用に必要な人権の視点
世界で進展するAI規制の展開と日本の現状を踏まえて
2026年04月10日
-
英国でもESG投資と受託者責任の関係は混迷
年金基金のESG投資に関するガイダンス策定を定める法案が否決
2026年04月03日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

