サマリー
◆日本では、2008年の金融危機を経て、企業の資金調達における間接金融依存の脆弱性が明らかになった。それ以降、「社債市場の活性化」は、常に課題であり続けている。日本の上場企業の資金調達構造をみると、過去10年あまり、80%以上が借入金で、社債の発行による調達額は少ない。
◆これに対して、米国の非金融法人の資金調達構造をみると、社債発行を中心とする資本市場での調達が借入金と同等であり、残高ベースでは借入金を上回っている。この点で、借入金の比重が相対的に大きい日本企業とは資金調達構造が異なる。
◆日本の社債市場の現状を見ると、「発行体の裾野が狭いこと」、「発行体が高格付の企業に大きく偏っていること」という二つの課題が特に印象に残る。これらの課題は、経済産業省によると、投資家層が限定されていることや発行手続における機動性の不足が原因と整理されている。
◆日本の社債市場活性化に向けて、米国から学ぶべき核心は、「公募社債を出しやすくし、売買価格を可視化する」という制度設計の方向性にある。
◆米国では、Form S-3ASR(優良・大型発行体向けFast-Track)が、一定の開示実績と市場での認知度を有する発行体による機動的な資金調達を支えている。また、TRACE (リアルタイムの取引報告・ポストトレード公表制度)や‘Confirmation Disclosure’(マークアップ/マークダウン開示)は、社債の取引価格や取引コストに関する情報を投資家に提供し、流通市場の透明性向上に寄与している。これらの制度は、発行市場と流通市場の双方から、社債市場の利便性と信頼性を高める仕組みとして機能している。
◆発行の機動性を高め、流通価格の透明性を向上させるという米国制度の基本的な発想は、日本の社債市場活性化にとって極めて示唆に富む。
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