日本企業における女性登用の動向と企業パフォーマンス

『大和総研調査季報』 2016年新春号(Vol.21)掲載

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2016年03月01日

  • 伊藤 正晴
  • 物江 陽子

サマリー

産官学のあらゆる分野における女性の登用が日本の政策課題となり、特に指導的地位に占める女性の登用については、「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」を達成するという目標が掲げられた。また、「『日本再興戦略』改訂2014」では、女性の活躍推進は労働力人口の維持という量的な面だけでなく、日本社会の活性化という質的な面からも重要とされている。しかし、日本の管理的職業従事者に占める女性比率は2014年でも11.3%にとどまっており、米国など他の先進国と比べてかなり低い状況にある。


日本の上場企業を対象に女性登用の動向を調べたところ、業種別に差はあるものの、女性登用は緩やかに進展している。ただし、管理職や役員の女性比率は低い水準にある。一方、女性登用と企業パフォーマンスの関係を調べると、これらの間に正の関係を示すケースがあり、女性の登用を進めることが企業価値の向上という質的な面にも寄与する可能性を示唆する結果が得られた。


今後、政府が進める女性登用の量的な面とともに、質的な面に焦点を当てた企業・社会の長期的な取り組みがさらに求められよう。


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