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日本企業の独立取締役の選任状況と企業パフォーマンスとの関係(後編)

~業種によって異なるが、同一業種内でも独立取締役を選任している企業の収益性やリターンが高い傾向が見受けられる~

伊藤 正晴

サマリー

◆前編では、企業を独立取締役選任の状況でグループ分けすると、独立取締役を積極的に選任している企業のROAやROE、そして株式リターンが高い傾向にあるとの結果を得た。この結果には、グループによって業種構成が異なることが影響している可能性がある。そこで、本稿では業種別に独立取締役選任の状況とROAやROE、リターンとの関係を分析したところ、次の結果を得た。


◆業種によって少し様相は異なるが、ROAとROEの平均的な水準は独立取締役を選任していない企業よりも選任している企業の方が高い傾向がうかがえた。また、独立取締役を1名のみ選任している企業と複数名選任している企業では、複数名選任している企業のROAとROEの水準が高い傾向が見受けられる。


◆リターンについても、やはり独立取締役を選任している企業で構成したポートフォリオのリターンが選任していない企業で構成したポートフォリオのリターンよりも高い傾向が見られた。さらに、業種による違いや保有期間による違いはあるが、独立取締役を1名選任している企業よりも複数名選任している企業で構成したポートフォリオのリターンが高い傾向が見受けられる。


◆このように、同一業種に属する企業であっても独立取締役を選任している企業の方がROAやROE、そして株式リターンが高い傾向がうかがえる。独立取締役選任の状況と企業パフォーマンスとの間には、何らかの関係が存在している可能性が示唆されよう。


◆もちろん、本稿の分析は因果関係を示すものではない。しかし、これらの結果は独立取締役を選任することがガバナンスの強化につながり、これが企業パフォーマンスの向上に寄与する可能性を示唆しているのではないだろうか。また、投資プロセスに独立取締役の選任というESG要因を加味することが運用パフォーマンスの向上に寄与する可能性も示唆していよう。

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