2016年05月20日
サマリー
◆前編では、企業を独立取締役選任の状況でグループ分けすると、独立取締役を積極的に選任している企業のROAやROE、そして株式リターンが高い傾向にあるとの結果を得た。この結果には、グループによって業種構成が異なることが影響している可能性がある。そこで、本稿では業種別に独立取締役選任の状況とROAやROE、リターンとの関係を分析したところ、次の結果を得た。
◆業種によって少し様相は異なるが、ROAとROEの平均的な水準は独立取締役を選任していない企業よりも選任している企業の方が高い傾向がうかがえた。また、独立取締役を1名のみ選任している企業と複数名選任している企業では、複数名選任している企業のROAとROEの水準が高い傾向が見受けられる。
◆リターンについても、やはり独立取締役を選任している企業で構成したポートフォリオのリターンが選任していない企業で構成したポートフォリオのリターンよりも高い傾向が見られた。さらに、業種による違いや保有期間による違いはあるが、独立取締役を1名選任している企業よりも複数名選任している企業で構成したポートフォリオのリターンが高い傾向が見受けられる。
◆このように、同一業種に属する企業であっても独立取締役を選任している企業の方がROAやROE、そして株式リターンが高い傾向がうかがえる。独立取締役選任の状況と企業パフォーマンスとの間には、何らかの関係が存在している可能性が示唆されよう。
◆もちろん、本稿の分析は因果関係を示すものではない。しかし、これらの結果は独立取締役を選任することがガバナンスの強化につながり、これが企業パフォーマンスの向上に寄与する可能性を示唆しているのではないだろうか。また、投資プロセスに独立取締役の選任というESG要因を加味することが運用パフォーマンスの向上に寄与する可能性も示唆していよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編③)
~業種によって異なるが、同一業種内でもCO2排出量の状況がリターンに関係している可能性を示唆~
2017年02月08日
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編①)
~企業パフォーマンスを業種要因と企業要因に分解し、業種の影響を考慮してCO2排出量との関係を分析~
2016年12月16日
-
日本企業の独立取締役の選任状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~独立取締役を複数選任している企業の収益性やリターンが高い~
2016年04月19日
-
日本企業のCO2排出量の状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~売上高当たりCO2排出量と企業パフォーマンスとの間に何らかの関係が存在する可能性を示唆~
2016年09月06日
-
日本企業の女性登用の状況と企業パフォーマンスとの関係(後編)
~業種によって異なるが、同一業種内でも積極的に女性管理職を登用している企業のリターンが高い傾向が見受けられる~
2016年07月25日
-
日本企業の女性登用の状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~女性を積極的に登用している企業の収益性やリターンが高い~
2016年05月23日
-
日本企業における女性登用の動向と企業パフォーマンス
『大和総研調査季報』 2016年新春号(Vol.21)掲載
2016年03月01日
-
日本企業の独立取締役の選任状況と企業パフォーマンスとの関係(前編)
~独立取締役を複数選任している企業の収益性やリターンが高い~
2016年04月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
生物多様性条約第17回締約国会議の注目点
初回グローバルレビューで問われる、目標達成への道筋
2026年10月09日
-
防衛関連の投融資に関する欧州の議論
日本の金融機関・投資家への示唆
2026年10月01日
-
男らしさに蝕まれる男性の健康
英国初・男性の健康課題に対応する10年戦略の示唆を読み解く
2026年09月29日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

