サマリー
◆2012年7月の日本経済中期予測を改訂した。この半年間における最大の変化は政権交代であり、安倍新政権は大胆な金融緩和や機動的な財政出動、成長戦略など、いわゆるアベノミクスを推し進めている。ただ、これらが効果を発揮するかは、今後の世界経済の動向に左右される面も大きいだろう。今回の予測では、世界経済の見通しを一段と保守的に見直した。この結果、今後10年間の日本の経済成長率は平均で実質1.5%、名目2.1%と予想する。
◆日銀は「物価安定の目標」を導入したが、金融政策の枠組み自体が変わったわけではない。物価目標の設定はゴールではなく、政府と日銀がその実現のためにどう行動するかが問題である。デフレの構造的な要因を単位労働コストの背景から整理すると、デフレ脱却には金融緩和のもとで企業の収益基盤を強化しつつ、企業の再生や再雇用が円滑に行われるセーフティネットを構築することが重要である。円安ドル高が物価を押し上げる効果は短期的には小さく、円安が長期間続いたとしても物価が上昇するまでにはかなりの時間を要する。円安を活かして規制・制度改革を進めるべきであり、短期的な「成長率」よりも中長期的な「成長力」を重視すべきである。
◆電力料金のようなエネルギー価格の上昇は、そのままだと日本の経済成長にとって大きな足枷となりかねない。しかし、政府が価格メカニズム等を活用する適切な制度設計を行えば、企業努力を引き出して、エネルギーの効率化と多様化という課題を経済成長に繋げていくことができるものと考える。
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