金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」

金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視

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  • 調査本部 フェロー兼エグゼクティブ・サステナビリティ・アドバイザー 塩村 賢史

サマリー

◆本稿では、2026年6月末と9月末の個別銘柄の業績予想データなどを使って、長期金利上昇が、日本企業の株主資本コストや株価バリュエーション等に及ぼす影響を分析した。東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードや「『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』の要請」などにより、資本コストを投資判断のハードルレートとして意識する企業は増加しており、資本コストの上昇は、成長投資や株主還元にも影響し得る。

◆ROEとPBRの関係変化: TOPIX採用銘柄のうち、一定条件を満たす489銘柄についての分析では、10年国債利回りが2026年6月末の2.683%から9月末の3.065%へ上昇する間、時価総額加重平均の予想ROEは12.0%から12.5%へ改善した一方、実績PBRは2.6倍から2.4倍へ低下した。ROEの改善がPBRを押し上げる効果も弱まっている。

◆株主資本コストの推計: 残余利益モデルでは、ROEが株主資本コストを上回ることが価値創造の必要条件とされ、株主資本コストの上昇はエクイティスプレッドの縮小とPBR低下につながる。489銘柄を対象に推計した時価総額加重平均のインプライド株主資本コストは、2026年6月末の6.13%から9月末の6.34%へ上昇した。

◆結論: 日本企業の資本コストへの意識が高まる中、今回の分析で足元の金利上昇が株主資本コストの上昇につながっている可能性が示唆された。しかし、その上昇幅は限定的で、現状では、設備投資や研究開発投資を急激に冷やすほどではないだろう。ただし、日本にとって「金利がある世界」は数十年ぶりのことであり、投資家と企業経営者は、今後も金利動向に神経質にならざるを得ないだろう。

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