2024年10月09日
サマリー
◆2024年10月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東海」「四国」を筆頭に7地域で改善し、「北陸」「中国」では悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費が「関東甲信越」「四国」「東海」「近畿」などで改善した。「関東甲信越」「四国」では一部車種の生産・出荷停止が解除されたことで新車販売台数が改善しており、猛暑効果などで家電販売額でも改善した。さらに「東海」は国内外の観光客増加などにより飲食・宿泊サービスにおいても改善が見られた。「近畿」は家電販売額で改善した。一方、「北海道」ではエアコン需要に一巡感が見られることから家電販売が悪化しており、消費がマイナスとなった。雇用・所得環境は賃上げが進む一方、「北陸」では悪化した。住宅投資については、前回から大きな変化は見られなかった。企業関連では、生産は「東海」「九州・沖縄」「東北」を筆頭に改善した。「東海」「九州・沖縄」では輸送用機械や電子部品・デバイスなどが改善しており、「東北」では生産用機械等がプラスとなった。さらに輸出は「北海道」で食料品が改善し、「東海」は輸送用機械や金属製品などで改善が見られた。また、企業マインドは地域によってばらつきがあり、「東海」「四国」「九州・沖縄」で改善し、「北陸」「中国」では悪化した。「東海」では非鉄金属や建設、「四国」では紙・パルプなどでプラスの寄与が見られた。一方、「北陸」では宿泊・飲食サービスなど、「中国」では木材・木製品などの影響で企業マインドが悪化した。設備投資は前回から変化はなかった。
◆全国的に見ると、日本経済は緩やかな回復基調にある。乗用車の供給制約の緩和や猛暑効果、インバウンド需要の高まり、賃上げ効果などで消費は改善しており、乗用車の持ち直しなどで生産や輸出も好転するなど、足もとの家計・企業を取り巻く経済環境はおおむね改善している。一方で、一部地域では企業マインドの悪化や物価高の影響も見られる。また、石破新政権下での地方創生策や米国大統領選の動向が注目されており、さらに中東情勢の緊迫化もあって、国内外の経済・政策動向は不確実性が高まりつつあるといえる。今後は、物価上昇と賃上げの好循環の持続性だけでなく、石破新政権や海外情勢の動向も注視しながら、地域経済の動向を見守る必要があるだろう。
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