2024年04月09日
サマリー
◆2024年4月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、令和6年能登半島地震や一部自動車メーカーの生産停止などの影響もあり、「北陸」「近畿」を筆頭に全地域で悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費は「近畿」「北陸」を中心に全地域で悪化した。一部自動車メーカーの生産停止の影響を受けて全国的に乗用車販売が減少している。暖冬などの影響で「近畿」などは家電販売も悪化した。「北陸」は能登半島地震の影響で観光や百貨店等の消費が下押しされた。また、雇用・所得環境は「北陸」で大幅に悪化した。住宅投資は建築コストの上昇等で「九州・沖縄」「中国」などで悪化した。ただし、「北陸」では地震からの復興に向けて先行きの賃貸住宅の需要が見込まれている。企業関連では、設備投資は先行きの半導体需要の増加を見越した「九州・沖縄」をはじめ、5G・EV関連の生産設備増強といった影響により「四国」「北陸」などで改善した。生産は電子部品・デバイスと化学がプラスに寄与して「北陸」で改善したが、輸送機械の生産が減少して「東海」「近畿」などは悪化した。輸出は北米向けの自動車部品・設備機器に対する需要が好調で「関東甲信越」「中国」で改善したが、「九州・沖縄」では中国向け自動車販売の鈍化といった要因、「東海」では一部取引先メーカーの生産停止の影響等により悪化した。企業マインドは「北陸」「近畿」をはじめ全国的に悪化しており、特に、宿泊・飲食サービス、鉄鋼、自動車などの業種がマイナスに影響した。
◆全国的に見ると、乗用車販売の減少や地震の影響による消費者マインドの落ち込みなどで、幅広い地域において消費や企業マインドが悪化している。しかし、上述の生産停止などの供給制約が緩和してきたこと、春闘で大幅な賃上げが実現するなど雇用・所得環境の改善が期待できることから、基調として景気は改善傾向にある。今後は、家計関連において物価高の影響はあるものの、供給制約の緩和や実質賃金の改善でサービス消費や自動車販売などを中心に消費は緩やかに改善すると考えられる。また、企業関連でもデジタル化・環境対応・省力化に向けた設備投資の改善が期待される。一方、海外景気が後退して、輸出や生産に悪影響を与える可能性がある。地域経済は引き続き、緩やかな回復基調にはあるが、海外リスクを注視する必要があるだろう。
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