2024年07月10日
サマリー
◆2024年7月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「近畿」「北陸」を筆頭に7地域で改善した一方、「四国」「北海道」では悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費は「近畿」「北陸」「九州・沖縄」などで改善した。「近畿」ではインバウンド消費により百貨店販売額や外食売上高などが改善し、「北陸」では百貨店・スーパー等の売上高や旅行取扱、ホテル・旅館の宿泊者数が能登半島地震による下押しを受けつつも、復旧復興関連需要や政府による旅行支援制度、新幹線延伸の効果などで回復している。一方、物価高の影響により、「中国」ではコンビニエンスストア売上高や家電販売が悪化し、「四国」では自動車の一部車種の出荷停止や新型コロナウイルスの5類感染症移行後に消費が盛り上がった反動減もあって、乗用車販売や大型小売店の売上などが悪化した。雇用・所得環境は「北陸」で改善した。住宅投資は前回から変化はなかった。企業関連では、生産は「近畿」「北陸」「東北」「九州・沖縄」などで改善した。特に「近畿」は輸送機械、「北陸」は電子部品・デバイス、化学、繊維、「東北」は電子部品・デバイス、「九州・沖縄」は汎用・生産用・業務用機械が持ち直している。一方、「四国」は汎用・生産用機械で持ち直しの動きが一服し、生産が悪化した。設備投資は「関東甲信越」などで改善した。輸出については、「北海道」で悪化した。企業マインドは、「中国」「北陸」「東北」などで改善した一方、「四国」「関東甲信越」は悪化した。特に「中国」では木材・木製品や自動車、「北陸」では宿泊・飲食サービス、「東北」は鉄鋼といった業種が企業マインドへプラスに寄与した。一方、「四国」は宿泊・飲食サービスや卸売などの業種が下押しした。
◆全国的に見ると、経済は緩やかな回復基調にある。特に「北陸」では、地震の影響からの回復が見られ、生産や消費が持ち直している。また、企業の業績見通しや投資意欲の向上が経済活動の活性化に寄与している地域もある。一方で、物価高や一部の自動車メーカーの出荷停止の影響などにより、消費が一部地域で低迷している。今後は、企業の設備投資の改善や、消費の回復が期待される一方、特に消費における物価高の影響には引き続きリスクも存在する。各地域ともに、経済の回復を目指しつつも、こうしたリスクへの対応が求められるだろう。
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