2025年10月08日
サマリー
◆2025年10月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「関東甲信越」「四国」など4地域で改善、「東北」「九州・沖縄」など4地域で悪化、そして「北海道」で横ばいだった。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費が「北陸」「北海道」「中国」などで悪化した。特にこれらの3地域は乗用車販売が悪化している。さらに「北海道」は消費者の節約志向でスーパーや飲食・観光が悪化しており、「北陸」は百貨店でインバウンド需要の鈍化の影響なども見られる。一方、「九州・沖縄」では一部OSのサポート終了に伴うパソコン販売の好調で家電販売が改善した。住宅投資は、2025年4月の建築基準法改正による建築確認の審査期間の長期化の影響等により、「北陸」「東北」で悪化した。雇用・所得環境については全国的に変化がなかった。企業関連では、企業マインドが「四国」「東海」「北陸」などで改善した。「四国」では紙・パルプや輸送用機械、「東海」では金属製品や鉄鋼、「北陸」では非鉄金属など、特に製造業で改善が見られる。一方、「東北」「九州・沖縄」では企業マインドが悪化した。「東北」は情報通信や食料品、「九州・沖縄」は非鉄金属などで悪化している。生産は「関東甲信越」などで改善した。各国の通商政策の不確実性は高いものの、その影響は限定的とみているようだ。輸出も、「関東甲信越」ではデータセンター向けや自動車向けの電子部品・デバイスなどで改善が見られる。なお、設備投資は全国的に変化がなかった。
◆全国的に見ると、緩やかな回復の基調を維持しているが、物価高の影響や先行きの不確実性が高いことにより、一部で回復のペースに鈍化が見られる。消費に関しては、物価高やインバウンド需要の一服感が影響し、節約志向が強まっている地域が多い。一方、企業を取り巻く環境は各国の通商政策の不透明感が引き続き強いものの、AI関連需要の拡大や海外需要が堅調に推移していることもあって、前回(2025年7月)よりは改善の兆しが見られる。今後は、物価高の影響を受けた消費の回復が鍵となる一方、海外経済の動向や国内の新政権が打ち出す政策が生産・輸出や設備投資に与える影響も注目される。外部環境の不確実性や物価高を引き続き警戒しつつ、地域ごとの経済動向を注視した、全体としての回復基調を維持するための施策が求められるだろう。
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