サマリー
◆高速道路の大規模更新と大規模修繕合計で、全国高速道路網は約3兆200億円、首都高速道路は約6,300億円、阪神高速道路は約3,700億円、本四高速道路は約250億円の概算事業費がかかると見込んでいる。それらを単純合計すると、高速道路網の大規模更新・大規模修繕に約4兆450億円の費用がかかることとなる。
◆国交省では、高速道路の大規模修繕・大規模更新の財源確保策として、高速道路の料金徴収期間を2065年まで15年間延長することとし、2014年2月には「道路法等の一部を改正する法律案」を国会に提出している。
◆高速道路の新規建設や大規模修繕・大規模更新、そのための資金調達は高速道路各社が実施するが、完成後は高速道路資産と債務を高速道路機構に引渡す。高速道路各社は、高速道路機構から高速道路資産を借り、料金収入で賃借料を支払う。この料金収入が債務返済の原資となる。なお、高速道路各社の発行した債券は、債務引渡しの際に一般社債扱いから財投機関債扱いとなる。
◆今回の大規模修繕・大規模更新の財源としては、料金徴収期間の15年間延長で確保できると考えられるが、今後とも高速道路網を活用していくためには、長期的かつ計画的な視点に基づいて、適切な水準での料金徴収の恒久化を図るべきであると考える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
高速道路インフラの資金調達についての現状と展望
高速道路各社の社債は、道路資産完成後に高速道路機構へ
2016年07月05日
-
東日本大震災からの復興と交通インフラ
「コンパクト+ネットワーク」の強化へ
2015年06月05日
-
財投、政策金融など「官」の資金に変化はあるか
資金循環から見た公的な法人の動向
2015年01月30日
-
高速道路のミッシングリンク解消と資金調達
高速道路各社の社債の位置付けは継続
2017年04月10日
-
注目すべき国土強靭化の行方
老朽化したインフラの更新は官民連携で
2012年12月17日
-
国土強靭化の焦点
~大規模な更新投資が必要なインフラ群~『大和総研調査季報』 2013年春季号(Vol.10)掲載
2013年06月03日
-
みんなのためのインフラ更新と国土強靭化③
人口減少下での重点化・優先順位付け
2013年06月27日
-
始動する国土強靱化、基本法成立
国土強靱化に関する基本法、政策大綱とインフラ更新検討状況
2013年12月13日
-
特定財源により充実した道路投資の半世紀
一般財源化後は選択と集中へ
2012年09月18日
-
高速道路網の持続性向上に向けて
道路関係四公団民営化のその後と今後の展開
2012年11月02日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日