サマリー
自公政権による予算編成では公共投資の増額が注目されている。その基礎理念ともいえる自民党の「国土強靭化」、公明党の「防災・減災ニューディール」は、共に公共投資を志向したものと捉えられるが、単なる新規投資ではなく、維持補修や更新投資を視野に入れた考え方である。足元の予算においては、維持補修や更新投資が大きな比率を占めているわけではないようだが、更新投資の本格化はこれからである。
更新投資が必要な主なインフラ群の課題と検討状況について、本稿では首都高、全国高速道路網、東海道新幹線、上下水道の事例を紹介しているが、それ以外のインフラについても更新投資をどのように行うか、その財源をどうするのかは重要な課題である。その際、官民連携の積極活用とともに、人口減少を前提にインフラの集中と選択の視点が欠かせない。
道州レベルの広域的な視点で、質の高いコンパクトシティを配置し、それに伴ってインフラの集中と選択を進めて、質の高いインフラ群を持続可能なものとすることが、「国土強靭化」の本質と考える。
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