財投、政策金融など「官」の資金に変化はあるか

資金循環から見た公的な法人の動向

RSS
  • 中里 幸聖

サマリー

◆日本政策投資銀行と商工組合中央金庫の完全民営化が当面見送られる見込みとなったことに象徴されるように、政策金融を含む公的な法人の位置づけが変わってきている。


◆2001年の財投改革、続く特殊法人等整理合理化計画、その一環ともいえる政策金融改革という流れの中で、財政投融資に関連する改革は、「民にできることは民に」「官から民へ」というキャッチフレーズに象徴される方向で進められた。しかし、世界金融危機や東日本大震災、また長期の経済低迷からの脱却のために、改革の方向性は見直されつつある。


◆資金循環統計における「財政融資資金」、「政府系金融機関」、「公的非金融法人企業」が、この一連の改革の対象に該当する。これらの金融資産、負債の動向に、財投改革をはじめとする一連の改革とその後の見直しの動きが表れている。


◆官民ファンドなどを含めて公的な法人の位置づけ見直しの影響は、現時点では、資金循環統計上で明確な動きとして表れているわけではない。しかし、官民ファンドの事業進捗やいくつかの公的非金融法人企業の上場などの実現に伴う今後の動きが注目される。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート