アベノミクス新・第3の矢「介護離職ゼロ」と介護費抑制の同時実現に向けて(後編)
~特養ホーム入所待機者数は都道府県で大きな差。その解消には都道府県ごとの域内分散計画と市区町村の地域包括ケアの推進が重要~
サマリー
◆「介護離職ゼロ」の見直し政策として計画した在宅・施設サービスの前倒し・上乗せ整備が実現すれば、2020年度に、介護者の介護離職ゼロと、中重度の在宅の特養ホーム入所待機者数の解消が同時達成される見通しとなる。
◆特養ホーム入所待機者数の解消には、各都道府県で居住系・施設サービスの整備状況が異なる。「介護離職ゼロ」のための在宅・施設サービスの増設計画の成功は、都道府県による域内全体の介護施設及び特定施設(ケアハウス)の計画整備に加えて、市区町村が自ら計画し整備を行う地域密着型サービスの充実がカギを握る。
◆さらに、介護費の側面では、地域密着型サービスに加え、都道府県による整備で、地域加算の低い市区町村を優先した整備が進めば、介護費負担の大きい受給者の介護費用抑制の効果が期待できるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
大都市圏の公的住宅団地が地域包括ケア拠点化(医療福祉拠点化)へ
2017年02月03日
-
大都市圏を中心に深刻化する2025年に向けた高齢者の居住問題
解決策は、住まいをベースとした「地域包括ケアシステム」
2017年02月03日
-
長寿社会と健康増進 第7回
日本は超長寿社会へ加速化
2016年08月24日
-
「介護離職ゼロ」に求められる視点
介護等離職者の再就職支援・正規雇用化に向けた具体策も必要では
2016年07月14日
-
経済成長に寄与する"女性活躍"とは
新たな付加価値の創出につながるような就業になっているか
2016年06月23日
-
アベノミクス新・第3の矢「介護離職ゼロ」と介護費抑制の同時実現に向けて(前編)
~中重度の特養ホーム入所待機者の解消が急務~
2016年02月25日
-
超高齢社会におけるわが国の医療・介護の方向性
~医療・介護費抑制(財政健全化)と成長(日本再興戦略)の両立に向けて~『大和総研調査季報』 2015年夏季号(Vol.19)掲載
2015年09月01日
-
都道府県格差が大きい医療・介護費
医療・介護費の抑制には後期高齢者一人当たり費用の全国格差の縮小が課題
2015年08月28日
-
長寿社会と健康増進 第2回
「不健康な期間」の短縮がカギ
2015年06月01日
同じカテゴリの最新レポート
-
大介護時代における企業の両立支援
〜人的資本のテーマは「介護」にシフト〜『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
-
2025年度の健康経営の注目点
ISO 25554の発行を受け、PDCAの実施が一段と重視される
2024年12月24日
-
健康経営で高評価を得るポイント
政策の方向性を踏まえた対応と、データ活用による効果検証が必要
2024年09月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日