サマリー
団塊世代が75歳以上となる大介護時代を迎え、それに伴う介護離職や働きながら介護をする人の増加が避けられない。人手不足感が高まる企業にとって、貴重な人材が介護のために離職したり、能力を十分に発揮できなくなったりすることは大きなリスクであり、対策が急務である。
仕事と介護の両立支援は「健康経営度調査」で問われるなど、積極的に取り組む企業が資本市場や労働市場で評価される仕組みも構築されてきた。人的資本経営を推進する企業にとって、両立支援の重要性が増している。
しかし、いくら企業が両立のための環境を整備しても、介護人材不足によって必要な介護サービスが確保されなければ、仕事と介護の両立の難しさは残る。この点、介護ロボットやICTを活用した生産性向上や、経営の協働化・大規模化による介護産業側での効率化が不可欠である。
そのうえで、企業には、①両立支援制度等の利用促進、②地域の介護資源につなげる支援、③従業員の介護予防、を通じて人的レジリエンスを高めることが求められる。適切な両立支援を行うことで、介護に伴う損失を低減し、さらに企業や経済の中長期的な成長につなげることも期待できるだろう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
従業員の経済的不安に、企業はどう応えるか
従業員の現在の備えと将来の資産形成を両立する米国企業の取り組み
2025年08月18日
-
若者の奨学金返済の不安をどう解消するか
給付奨学金の拡充、貸与奨学金は有利子から無利子への流れを加速
2025年05月09日
-
2025年度の健康経営の注目点
ISO 25554の発行を受け、PDCAの実施が一段と重視される
2024年12月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日