サマリー
◆アベノミクスの第2ステージの目標である「一億総活躍社会の実現」のために、新・第3の矢「安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)」が掲げられている。この中で、特別養護老人ホーム(特養ホーム)等の施設サービスを中心とする介護サービスの拡充が計画されている。
◆介護サービスは、介護保険制度の2000年4月の施行以降、全ての要介護者区分において、施設等サービス(施設・居住系サービス)よりも、在宅での居宅サービスの受給が進んでいる。そのうち、中重度者(要介護3~5)の居宅サービスの受給者数が増加しており、これが介護費増加、介護離職の主因となっている。
◆介護費用の面では、中重度者の居宅サービスの受給者の中には、施設等サービスを受給した場合よりも介護費負担が高額となるケースが生じており、経済的な負担が重くなる傾向にある。
◆介護者の負担面では、自宅での中重度者の介護時間は半日~終日必要となるケースも多く、医療・看護連携の必要性や、介護者にとって精神的・身体的負担も重いことから、介護・看護を理由に離職する者が増えている。これが社会的な課題となっている。
◆新・第3の矢は、在宅介護から施設介護への回帰政策であるとの批判がされることも多い。しかし、特養ホームへの入居待機者数は、2014年時点で52.3万人にのぼり、特に中重度者の待機者が多い。特養ホームの整備によって入所待機者の解消が進めば、介護者の負担を軽減し離職を減らすだけでなく、介護費の抑制も同時に可能となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
大都市圏の公的住宅団地が地域包括ケア拠点化(医療福祉拠点化)へ
2017年02月03日
-
大都市圏を中心に深刻化する2025年に向けた高齢者の居住問題
解決策は、住まいをベースとした「地域包括ケアシステム」
2017年02月03日
-
長寿社会と健康増進 第7回
日本は超長寿社会へ加速化
2016年08月24日
-
「介護離職ゼロ」に求められる視点
介護等離職者の再就職支援・正規雇用化に向けた具体策も必要では
2016年07月14日
-
経済成長に寄与する"女性活躍"とは
新たな付加価値の創出につながるような就業になっているか
2016年06月23日
-
アベノミクス新・第3の矢「介護離職ゼロ」と介護費抑制の同時実現に向けて(後編)
~特養ホーム入所待機者数は都道府県で大きな差。その解消には都道府県ごとの域内分散計画と市区町村の地域包括ケアの推進が重要~
2016年03月25日
-
超高齢社会におけるわが国の医療・介護の方向性
~医療・介護費抑制(財政健全化)と成長(日本再興戦略)の両立に向けて~『大和総研調査季報』 2015年夏季号(Vol.19)掲載
2015年09月01日
-
都道府県格差が大きい医療・介護費
医療・介護費の抑制には後期高齢者一人当たり費用の全国格差の縮小が課題
2015年08月28日
-
長寿社会と健康増進 第2回
「不健康な期間」の短縮がカギ
2015年06月01日
同じカテゴリの最新レポート
-
女性特有の健康課題にどう向き合うか
~対応加速と国際標準化への備え~『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
-
2026年度の健康経営の注目点
企業価値向上と地域/国際社会への波及を目指す次のフェーズへ
2025年12月23日
-
健康経営の新たな戦略基盤
従業員多様化時代のウェルビーイングプラットフォームの可能性
2025年10月24日
最新のレポート・コラム
-
日本は国際的な人材獲得競争で勝てるのか
外国人労働者の増加継続を見込むも経済下振れと円安がリスク要因
2026年04月07日
-
2026年2月消費統計
財は弱いもののサービスが強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2026年04月07日
-
原油高・リスクオフ下での新興国の耐性は
脆弱性が最も懸念されるのは南ア。耐性が高いのはブラジル
2026年04月06日
-
トランプ大統領「米国政府と契約したければDEIをやめなさい」
大統領令を発出し、米国政府の契約先企業によるDEIへの取り組みを精査・規制する方針を明示
2026年04月06日
-
「第3次オイルショック」発生リスクへの日本の対応は十分か
2026年04月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

