2026年度税制改正大綱解説

給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要

RSS

2025年12月25日

サマリー

◆自由民主党・日本維新の会は2025年12月19日に2026年度税制改正大綱を決定した。事前に国民民主党とも合意しているため、年明けの通常国会にて税制改正関連法が成立する見通しであり、大綱の内容に沿った税制改正が実施されると見込まれる。

◆いわゆる「年収の壁」への対応では、課税最低限が178万円に引き上げられる。内訳は、基礎控除の最大控除額が「95万円→104万円」、給与所得控除の最低保障額が「65万円→74万円」となる。基礎控除104万円が適用される年収の閾値は約665万円となり、その金額の前後では手取りの「逆転現象」が生じる。大綱の税制は「暫定的な姿」として、給付付き税額控除導入に向けた所得税の抜本的改革を実施すべきである。

◆租税特別措置の見直しとして、賃上げ促進税制や研究開発税制のメリハリの明確化が実施される。賃上げ促進税制は2025年度末に大企業が対象外となり数百億円程度、2026年度末に中堅企業が対象外となると5,000~6,000億円程度の税収増となる。

◆復興特別所得税を1%pt引き下げた上で、1%の付加税である防衛特別所得税が2027年より適用される。また、高校生の扶養控除は当面、現行制度が維持される。児童手当の高校生年代までの拡充や高校無償化の実施を踏まえて、支援のあり方を再考すべきだろう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート

同じカテゴリの最新レポート