2024年01月05日
サマリー
◆2023年12月25日、金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」報告(TOB等WG報告)が公表された。これは、金融担当大臣から「近時の資本市場における環境変化を踏まえ、市場の透明性・公正性の確保や、企業と投資家との間の建設的な対話の促進等の観点から」(2023年3月2日 第51回金融審議会総会・第39回金融分科会合同会合)検討を行う旨の諮問がされたことを受けたものである。
◆TOB等WG報告では、公開買付制度については市場内取引(立会内)を義務的公開買付け(3分の1ルール)の対象にすべきこと、3分の1ルールの閾値を30%に引き下げるべきこと等が提言されている。大量保有報告制度については、重要提案行為等の範囲や共同保有者の範囲の見直しについて提言している。実質株主の透明性については、発行会社から求めがあった場合、機関投資家等は回答すべきことを提言している。
◆公開買付制度について、市場内取引(立会内)を3分の1ルールの適用対象とすることや3分の1ルールの閾値の引下げ等の法改正が必要な事項については、2024年の第213回通常国会への法案提出が予想される。実質株主を把握するための手当てについては、実現に向けて会社法を含めた議論が行われることが期待されるが、当面は「機関投資家の行動原則」として、日本版スチュワードシップ・コードの見直しが見込まれる。
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